気体に高圧をかけて圧縮すると高温を発し液体に変化します。
この液化した気体が常圧で気体に戻るとき、周りから熱を奪っていきます。これを潜熱といいます。
例えば注射のとき消毒アルコールで腕を拭くと、冷たく感じます。これも液体であるアルコールが気化するときに腕から熱を奪っていくからです。
カーエアコンに限らず、ほとんどの冷却(冷凍)装置はこの潜熱を応用しています。
カーエアコンの冷却システムを図に表すとこうなります。
- コンプレッサーによって圧縮された冷媒(エアコンガス)は高温高圧の半液体の状態でコンデンサーに入ります。
- 冷媒はコンデンサーでコンデンサーファンの風によって冷却され、さらに液化が進みレシーバーへ送られます。
- レシーバーでは液化できなかった僅かな冷媒を液冷媒と分離して、乾燥剤やストレーナによって水分や不純物が取り除かれます。
- 液冷媒はエキスパンションバルブ(膨張弁)の微小なノズル穴からエバポレーター内へ噴射され一気に気化します。
- 気化した冷媒はエバポレータ周りの熱を奪っていき、それによってエバポレータが冷やされます。そこにブロワファンの風を通過させて冷風を起こします。
- 車内の空気中の水分は冷たくなっているエバポレーター表面でで凝縮され水滴となり、車外へ放出されます。これにより除湿が行われます。
- エバポレーターを出た冷媒はまたコンプレッサーに戻り再び圧縮されます。
このように冷媒を循環させてひとつのサイクルを構成しています。
さらにエバポレーターの温度によって、エキスパンションバルブの噴射量を調整したり、電気的にコンプレッサーの作動をON/OFFしたり等、適正な冷房能力を維持する為さまざまな制御がなされています。