夏場にエアコンを入れたが、全然冷えてこない。または冷風は出ているがちょっと冷えが甘いような気がする・・。など、
一般にカーエアコンの不調症状はこんなところだと思いますが、実は同じ症状でもエアコンの故障にはいろんなタイプがあります。

それではカーエアコンの故障にはどのような種類があるのでしょう。
大まかに二つに分けてみました。

ACサイクルの機械的故障
エアコンサイクルを構成している部品が過度な使用、経年劣化や腐食によって起こる故障。ガス漏れやコンプレッサーのロック、サイクルの詰まりなどがこれにあたります。
最も多いのがガス漏れです。カーエアコンはスペースの問題でサイクルの配管が複雑で、接合部分も多いため、1箇所から大量に漏れているケースもあれば、数カ所に分かれて漏れているのもあります。

制御系の電気的故障
サイクルは正常だが、コンプレッサーや空調などを電子制御している部分に異常があるため、冷風が出ない症状。
オートエアコンの出現によって電子化が進み、最近特に増えてきた故障です。比較的簡単に直るケースもあれば、故障個所を見つけるだけで丸一日費やすこともあります。

電気的故障もケースによっては電子部品の機械故障と言えるものもあって、この括りはかなり乱暴だと思いますが、わかりやすくする為に敢えてこうしました。また上記2つが複合している場合もあります。

昨今のカーエアコン特に乗用車に主流のオートエアコンは、各所のセンサーにより風量、噴出し温度、噴出し口がすべて電気コントロールされている為、家庭用エアコンより制御が複雑です。そのため上にも書きましたが、故障のタイプの中でも診断が厄介なものです。

サイクル故障、特にガス漏れに関しては、クルマが動いていない時でも漏れ続けていますので、いくらガスチャージをおこなって一時的に復活しても、漏れ個所をしっかり直しておかなければ、完全に直ったとは言えません。漏れ度合いにもよりますが、ひどい時には2週間ももたないこともあります。ガスチャージしてもまたすぐに冷えないようなら、漏れ点検を行ってください。
またサイクル詰まりの場合でも冷えないからといって、むやみにガスチャージをすると、ガスの過剰充填になり、コンプレッサーなどを壊してしまうので、注意が必要です。

このようにカーエアコンは故障する部分が多岐に渡っているため、故障診断が大変複雑になっています。
また高圧ガスが封入されている個所もありますので、確実に修理する為にはプロによる適切な診断と修理技術が不可欠なのです。