バッテリーの構造
通常12Vタイプのバッテリーは内部が6セル(層)に別れています。つまり1セルにつき起電力2Vということです。
各層には陽(+)極板と陰(−)極板が交互に重なって入っています。
極板は陽陰ともに構造は同じです。網状の鉛の板(格子体)にペースト状の鉛(活物質)を塗ったものですが、陽極板は過酸化鉛、陰極板は海綿状鉛(硫酸の浸透性を高める為にスポンジのような多孔性の鉛)が塗られています。陽極板と陰極板の間には絶縁の為セパレータ(多抗薄膜絶縁体)と極板の脱落保護の為のガラスマットが挟まれています。
陽極板、負極板共に上部のストラップ部分で連結されて、それぞれプラス端子、マイナス端子につながっています。
内部の極板の数が多いほど性能が高くなるので、極板以外のモノ、つまりセパレータを薄くしたりして多く極板を入れているものもあります。同サイズのバッテリーで高性能タイプがあるのはこのためです。
また、極板の劣化により活物質が格子体より剥落した場合、バッテリー下部でのショートを防ぐ為、”くら”を設けて余裕を持たせてあります。
次にバッテリーの仕組みについてです。
バッテリーはどうやって充放電を行っているのでしょうか?図であらわしてみました。
バッテリーは、極板の活物質である鉛と電解液である硫酸の化学反応によって電気を起こしたり、蓄えたりしています。
放電
バッテリーに負荷(電気を使うところ。ライト、スタータモータなど)がつなげられて電気が流れ出すと、陽極板の過酸化鉛と陰極板の海綿状鉛はそれぞれ硫酸に反応して硫酸鉛に変化していきます。また電解液である硫酸は水に変化していきます。硫酸と水は比重が違うので(水1に対し硫酸1.280)比重計で電解液の比重を見ることでそのバッテリーの残存電気量を大まかに測ることができます。
この反応(放電)は活物質がすべて硫酸鉛に変化するまで(完全放電状態)続けることができます。
充電
今度は放電しているバッテリーに電気を流し込む。つまり充電を行うと、硫酸鉛に変化している陽、陰極板の活物質は次第に過酸化鉛と海綿状鉛に戻り、水は硫酸に変化して放電前の状態に戻っていきます。
通常バッテリーはクルマに積まれている時は負荷に電気を供給していると同時に、エンジン回転で発電する発電機によって充電されています。
また充電が進み、完全充電状態に近くなってくると電解液中の水の分子は電気分解されて酸素ガスと水素ガスになり放出されます。これによって電解液の量が減ってくる所謂”液減り”が起こります。
以上の化学反応を化学式で表すと以下のようになります。
放電と充電は逆の反応によって行われていることがおわかりになるでしょうか。
このようにバッテリーというのは電気エネルギーを化学エネルギーに変換して一時的に蓄えておき、必要なときに必要なぶんだけ取り出すことができるクルマにとっては無くてはならない重要な部品なのです。