通常エアコンというのは冷房と暖房を組み合わせた総合空調装置のことですが、一般的にカーエアコン=冷房というイメージも強く、故障の頻度も多いことから、ここでは冷房だけに絞ってお話したいと思います。
ちなみに家庭のエアコンと違い、カーエアコンは冷房と暖房は熱の交換という点を除けば構造や仕組みはまったく別のものです。

カーエアコンの主な構成部品を説明します。

 コンプレッサー
冷媒を圧縮する圧縮ポンプのようなものです。エンジンに取り付けられていて、ベルト駆動でエンジン回転により回されます。
ベーン式、スクロール式などとと構造によっていろんなタイプが分けられます。
また最近では電気によって吐出能力をコントロールできる可変容量式のものもあります。





 コンデンサー
圧縮されて高温高圧になった冷媒を冷やして液化するものです。
何層にもなった一本のチューブにたくさんのフィンがついています。車の前面等に取り付けられていて、走行時の風や電動ファンまたはラジエターファンによって冷媒の冷却を行います。





 レシーバードライヤー
コンデンサーによって液化された冷媒を一時的に蓄えておくタンクです。
中には冷媒の不純物を取り除くストレーナと水分を除去する乾燥剤が入っています。
冷媒中のごみや水分は冷凍サイクルに悪影響を及ぼす為、それを防止する為です。





 エキスパンションバルブ
エバポレーター入口に取り付けられていています。
高温高圧の液化冷媒がここを通ると液から霧状の気体に変化していき噴射されます。
内部にはニードル弁(絞り弁)が設けられていて、エバポレータ−出口の温度によってこの弁をコントロールして噴射冷媒の量を調節しています。





 エバポレーター
車内のダッシュボード内部等に取り付けられています。構造はコンデンサーに似ていますが、このなかを気化した冷媒が熱を奪いながら通過して行き、エバポレータ−は冷却されます。
ここに車内の温かい空気がファンによって通過していき、熱交換が行われて冷風が出る仕組みになっています。








以上が主な構成部品です。もちろんこれがすべての構成部品ではありません。
それぞれをつなぐ配管やホース類、制御系用のコンピュータや圧力スイッチなどカーエアコンにはさまざまな部品が使われています。